無意志的想起

子どもの頃読んだ、『なんか妖かい!?』という漫画。一つの挿話だけ妙に生き生きと覚えている。と或る中年サラリーマンが事故で亡くなるが、本人は自分が死んだことを理解できず、幽霊として彷徨う。主人公の男女二人組は彼に自分が死んだことを悟らせようとするが、悉くうまくいかない。が、最後に彼は、自分が育てていた植物に花が咲いたことを見届け、安堵したような表情を浮かべ、天国へ去っていく。この話だけ、妙に鮮明に覚えている。

私は、戦後日本のサブカルチャーの申し子である。手塚治虫に始まり、石森章太郎松本零士永井豪竹宮恵子大島弓子萩尾望都魔夜峰央吉田秋生らを愛読してきた。漫画の子なのである。