蓋然性/確率 possibilityの問題(mixiからの転載)

K氏@中尉さんが口を酸っぱくして繰り返してる蓋然性/確率の話を純魔さんは完璧にまるで理解してないね。蓋然性/確率 possibilityって実は深い哲学的・科学的問題で、ヒューム以来の「帰納推理の正当化」の問題です。J.S.ミルやケインズらも取り組みました*1

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経験知っつーのは習慣(反復)→信念形成の経路を辿る。例えば、これまで千回、朝になれば太陽が昇ってきたので、明日もそうなるだろうと期待するなどだ。一般に経験知なり常識(普通の知性)は大抵の場合正しい。が、間違うこともある。例えば、日蝕の場合などだ。科学的ないし学問的な知は、経験知が説明できない例外的な事象をも合理的に説明できるが故に尊ばれるのだ。

で、話を元にもどすと、911同時自爆テロそのものが、例外的、唯一的な事象であり、そうであるが故に、確率計算の話をしても意味がないのだ。何故なら、一回しか起きていない出来事なのだから。中尉のほかにもゆきかぜまるさんなども同様の指摘をしてるが、純魔さんは理解してないな。

ブルース・リーは「考えるな。感じろ」と言った(『燃えよドラゴン』)。が、この格率が正しいか否かも、文脈によって決まる。911のような出来事に関して、吟味し反省的に考えるのではなく、直感的に「感じる」ほうを選ぶのは愚かでしかない。

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*1:名前ド忘れして出てこないけど、「効用 utility」概念を経済学に導入した人(ミルではない、Jで始まる名前だったはず)も確率の問題に取り組んだ。←思い出しました。ジェヴォンズでした。近経の始祖にして論理学者でもあったのに、何故か過小評価されている不思議な人。日本人の著書としては、内井惣七さんのものをお勧めします。