上原ひろみ / ビヨンド・スタンダード を聴く

電車の中でCDウォークマンで聴き、早稲田のあかねに着いて店内のステレオで二度三度聴き、「う〜ん」と唸ってしまいました。

上原ひろみ / ビヨンド・スタンダード

ビヨンド・スタンダード(初回限定盤)(DVD付)

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帰りの電車の中で考えていたのは、比較対象として山中千尋の『アフター・アワーズ』と鳥尾さんの『ビバップ』を設定してみてはどうかということです。上原ひろみは技巧も表現力も際立っているけれど、なんというか泥臭いロマンティシズムのようなものが感じられ、個人的に最も洗練されていると感じるのは山中千尋の『アフター・アワーズ』です。鳥尾さんは何故もっと注目され売れないんだろう……。

山中千尋 / アフター・アワーズ

アフター・アワーズ~オスカー・ピーターソンへのオマージュ

アフター・アワーズ~オスカー・ピーターソンへのオマージュ

鳥尾さん / ビバップ

ビ・バップ

ビ・バップ

上に挙げた三枚のうち、一番「ジャズっぽくない」のは上原の『ビヨンド・スタンダード』。「朝日のようにさわやかに」も「キャラバン」も「上を向いて歩こう」も「マイ・フェイヴァリット・シングス」もほとんどロックかよと思いました。逆にそういうところが、ビバップを難解と感じる層にもウケているんだろうな、と推察。僕のバンドのベースとドラムの人は、団塊の世代のおじさんですが、彼らは上原好きなんですね。なんでだろう?と思うのですが、上原にはロック的要素もかなり入っているので、ジャズではなくロックから入った彼らにも分かりやすいのではないかと想像しています。

ポストモダン問題に絡めていえば、「もう新しいものは何も出てこない」というシニシズムがその本質だと思いますので、程度の差はあれ上に挙げた三者はいずれもそれを共有しているように思います。ポストモダンシニシズムには、歴史性への軽蔑があるように考えますが、上原は「マイ・フェイヴァリット・シングス」を演奏してもコルトレーンには言及しないし、特にコルトレーンに取り組んだ形跡もないように思います。その意味で、上原が一番ポストモダニスト的なのかな、と思います。鳥尾さんは、本当にビバップをガチンコで弾く三人組ですので、一番モダニズム寄りかな。山中千尋はその中間にいるように感じます。

オスカー・ピーターソン問題ってあるんですか。日本で何故か評価が低いという。僕はそんなことないと思うんですが…。僕自身は大好きです。初期から後期に至るまで好きですね。脳梗塞で倒れて復帰してから後のものに関しては微妙ですね。何枚か聴きましたが。