神経病養生記2

私の経験から、神経症の克服について思うところを述べてみたい。まず、精神分析は有用ではない。私は長い間夢解釈をやってきたが、それで「無意識の真実」に触れたと感じたことはない。むしろ、悪化の要因になると言えよう。我流の自己分析だからいけないのであって、本格的に他人に分析してもらえばいい、と人は言うかもしれないが、そんなの一体幾ら掛かると思っているのか? 問題は、ここでは純粋に経済的である。治るかどうか分からない療法に多額の金銭を費やす余裕があるかないか、という問題だ。そして、私にはそんな余裕はないし、これをお読みの皆さんにもそうした余裕はないと思う。

私が大切だと思うのは、「反省的ないし自己批判的に」服薬すること。精神科の薬はたくさんあるので、自分の体質に合う薬と出会うまで、主治医にいろいろ要求して変えてもらってよい。けれども、決まったら薬はきちんと飲むことが必要だ。

特に症状が激しい時には、とにかく休むこと。刺激を減らすこと。視覚的刺激、聴覚的刺激…を減らし、休養すること。決して無理しないこと。

次に、同じ精神病者神経症者の仲間との付き合い方について一言しておきたい。病いの辛さは家族と言えどもわかってくれない場合もあるし、家族は薬を飲むな等と無理解なことを言ってくることもある。だから、同じ病いを持つ人らと友達になり、いろいろな情報(良い病院、良い薬、養生法…)を聞くのは良いことである。が、大切なのは、よくありがちなことなのだが、「負のオーラ」に巻き込まれないことだ。精神病・神経症・ボーダーの人の中には、自分の症状に他者を巻き込むタイプの人がかなりいる。それに巻き込まれると、自分自身の回復が遅れるのみならず、結局は相手にも打撃になる。そこからいわゆる「共依存」関係などに発展するわけだが、それは百害あって一利なしである。冷たいようだが、「他人は他人、自分は自分」という原則を常に頭の隅に置き、他者とは一定の距離を保って付き合うようにすることが大切である。