追加

ジャズというものは、技術(複製技術)、メディアの問題と切り離して考えることはできない。これまでにも、民衆の世俗音楽というものは多く存在してきただろう。が、それらは、記録されないが故に消え去ってきた。記譜法を持つ音楽だけが存続してきたのだ。だが、レコードの発明と伝播・大衆化により、本来消え去ってしまうはずの即興演奏が記録され、繰り返し聴かれるようになった。ジャズの歴史は、記録されたもの(レコード)の歴史である。

技術の発展がスタイルをも規定した。初期においては、3分程度までしか録音できなかったので、その範囲で表現が凝縮されたが、技術的発展により、長尺の演奏が記録可能になった。ハード・バップというスタイルは、録音技術の向上の相関物だといえる。