新たな非-労働倫理の発掘としてのLETS

プロの技術ではない、素人やセミプロのDIY的な技術なら提供できる、とか、正社員としての働き方はできないが、それ以外の働き方ならできる、という人達は多くいるはずだ。そういう層の受け皿が欲しい。私が以前、LETSに熱心に取り組んでいた時一番考えていたのが、賃労働でも遊びでもない「自由活動」の領域に属する技術の交換のツールを創出する、ということだった。プロの技術ではない技術を交換し合う媒体としてLETSが機能するなら、現在の資本主義社会では表に出てこられない層が可視化し、顕在化することができるのではないか、と期待していた。LETSは賃労働の揚棄であるとともに、ボランティアの揚棄でもある、と考えられていた。現在の日本社会ではボランティアは「奇特」な人だけがやるものという印象があるが、そうではなく、多くの人達が交換に参加してくるようなものをと夢見ていた。