哲学者のおもしろくもない書物が…

というのも、スウィフトの観察によれば、へたくそな詩でも脳を浄めることにはなるのであって、そうした詩によってたくさんの有害な体液が取り除かれて詩人の症状が軽くなるのであるから、ああでもないこうでもないと考えをめぐらせて書かれた(哲学者の)おもしろくもない書物がどうしてまた同じような効き目を持たないと言えるであろうか(むしろ同じような効き目を持つであろうからにほかならない)。(カント「脳病試論」、『カント全集 2』, p.404)