坪内稔典『正岡子規 言葉と生きる』岩波新書
- 作者: 坪内稔典
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/12/18
- メディア: 新書
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この人は子規を読み続けて40年だそうである。それは凄い。
自分も何かを読み続けて40年、というふうになりたいな、と思った。
今は哲学書をほとんど全く読んでいないが。ドゥルーズとかスピノザとか。
子規で面白いのは、俳句と短歌と両方の革新をやっていることだ。
短歌も俳句も短詩型文学だが、歌人の世界と俳人の世界は分かれてしまっていて、歌人にして俳人、という人は案外少ない。子規のほかに誰がいるだろうか?
子規は短歌や俳句を近代の言語空間に開いていこうとしたと思う。その志を継いだ者はいるのだろうか?
正岡子規と夏目漱石の関係も面白い。
子規との関係で高浜虚子を否定する論者(例えば柄谷行人)も多いが、ことはそう簡単ではない。子規は虚子と一度絶縁しているが、晩年関係を再構築しているからだ。柄谷が虚子を悪者にして全否定するのは、マルクスを称えるためにエンゲルスを悪者にして全否定するのと似た論法を感じる。それはレトリックとしてはありだろうが、実際にはそんな単純なものではない。