小田実『平和をつくる原理』(講談社)p24-25

戦争の理念が国家の強制原理としてあるとき、それに対決し、抗する道は、より高次の人類の普遍原理に依拠することだろう。国家が自己の理念達成のため、また、その自己保存のため、人を殺せ、と命ずるとき、私たちは、いかなる理由においても人間には人間を殺す権利はない、という普遍原理によってそれを拒否することができる。国家が戦えと命ずるとき、いかなる理由においても戦争は罪悪であるという理由で、その命令に抗することができる。

しかし小田実のエッセイはこれで終わらない。個人が自らの加害者性を絶えず自覚し、国家原理に抗う「個人原理」を確立すべし、と続く。