インターネット礼賛でもインターネット全否定でもなく:スローネット書評

西垣通さんの『スローネット』(春秋社)の感想を書きました。

ポール・ヴィリリオの現代文明批評を手懸りに、インターネット礼賛でも全否定でもない道を探っているのは好感を持てます。

どうしても思い出してしまうのが、NAMのことなんですが…。NAMは、インターネット発の革命運動としてスタートしたけれども、初期にいた空閑明大という人がメールでは議論は出来ない、会うことが重要だと唱えて排除されました。Q全盛の頃は柄谷行人はそれを「Kの原理」と呼んで馬鹿にしていたのですが、Q-NAM紛争でNAMが崩壊すると、一転して、「会うことが重要だ」と自分も言い出すようになった。

具体的な地域や場所で顔を合わせることは大事だとは思うのですが、しかし、会うことだけを前提すると、私は、前田さんとも西脇さんとも皆川さんとも繋がれません。日本語で書いているから日本語ユーザーに限定されるかもしれませんが、ともかく、このメールで書いている言葉が通じる相手とコミュニケーションが生じる手助けとして、ネットを用いたいと思います。