p128-129

耳が痛い指摘だ。

マイルスはその危険性を間近でクールに見定めていたのですね。ですから当然のようにパーカーの即興の意味を取り違えた一部の流行的フリー・ジャズ・ミュージシャンには冷たかったのかもしれません。オーネット・コールマン(アルトサックス)やセシル・テイラー(ピアノ)、そしてアルバート・アイラー(テナーサックス)といった優れた資質の持ち主たちは違いますが、即興演奏と自由を短絡的に結びつけた演奏がおおむね想像力を欠いた、凡庸な無意識の発現にすぎない単なる「手癖」に終始したのも当然でしょう。

ジャズ耳の鍛え方 (NTT出版ライブラリーレゾナント)

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