ティーパーティー〜続き:代議制の危機

クローズアップ現代の感想の続きである。
私が考えたのは、ほんの少し前オバマが勝ち、今共和党を勝利させようとしているのは、同じアメリカの民衆だということ。日本でいえば、小泉純一郎郵政選挙で彼を大勝させたのと同じ日本の民衆が、民主党衆議院選挙で大勝させ、そして参議院選挙では惨敗させた。
ここから何を読むべきか、ということだが、私が思い出したのは、スピノザの『国家論』である。そこでスピノザは、現実問題として民衆の大多数は、受動感情、情念で動かされる存在に過ぎない点を指摘し、その現実、事実を踏まえて統治すべきだと言っている。私は、スピノザは正しいと思うのである。
クローズアップ現代でも語られていたが、失業率が高い時に高い支持率を維持できる大統領はいないのだという。日本でも同じだろう。景気が良くならないと、政府が悪いと、時の与党を負けさせる。それが民衆というものなのである。
それをポピュリズムとか民主主義の堕落と嘆いても仕方がない。この気紛れさ、変わり易さは民衆の本質であり、代議制民主主義はその脆い存在に基盤を置いているのである。
今、それは危機にある。だが、代案はまだない。

国家論 (1976年) (岩波文庫)

国家論 (1976年) (岩波文庫)