汚名に塗れた人々の生涯

快楽殺人者、倒錯者ということで思い出すのがやはりフーコーの名文「汚名に塗れた人々の生涯」なわけだが、ドゥルーズは『フーコー』で、「汚名」というものに幾つかの概念があるとしている。一つはバタイユ的なもので、ジル・ド・レなど。ドゥルーズフーコーの「汚名」概念はこちらではないという。もう一つはチェーホフ的なもので、或る日、些細なことで逸脱し、権力と衝突し、記録に記入される、そういう人々。

フーコーといえば、彼が序文を書いた『ピエール・リヴィエールの犯罪』(最近新しい翻訳が出た)も思い出す。養父母を殺害したピエール・リヴィエールに困惑し、裁判官があなたは何故こんなことをしたのか、書いてくださいと言う。で、ピエールは書いて提出するが、それは裁判官達をさらに困惑させるものでしかなかった、という…。

フーコー (河出文庫)

フーコー (河出文庫)

ピエール・リヴィエール---殺人・狂気・エクリチュール (河出文庫)

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