幻聴

幻聴とまではいかないが、狂気は僕に、清水直子フリーライターなら、攝津正はフリーライダーと冗句を囁き続けていた。その単調な反復に文字通り気も狂わんばかりになったのである。空耳というか、なんというか、不可思議であるが、昔から僕には親しい現象である。狂気の躁病になった時、僕には一種の言葉遊びが自動的に生起するのである。どうしてだかは僕自身にも分からぬ。医者にでも謎解きしてもらうよりほかあるまい。