技癢

生涯一フリーターで終っても良いという気持もある。が、親がそれを許さぬ。親は僕が芥川賞を獲ることを期待しているのである。何故芥川賞なのかといえば、他に賞らしい賞を知らぬから。哲学に芥川賞のようなものはあるだろうか?
ジャズでいえば、セロニアス・モンク賞というのがあり、ビッグバンドをやっている守屋純子が受賞している。興味が無いこともないが、先ず譜面が書け作編曲ができねば話にならないだろう。
森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』の冒頭に、「そのうちに夏目金之助君が小説を書き出した。金井君は非常な興味を以て読んだ。そして技癢(ぎよう)を感じた。」というのがあり、この表現が頭に残っている。僕は絲山秋子には「技癢(ぎよう)を感じ」る。しかし、鹿島田真希福永信には特段感じない。諏訪哲史の「アサッテの人」もこれから読もうと思っているが、技癢は感じなさそうだ。