民主主義

ネグリの最新の本の邦題は『さらば、近代民主主義』っていうんだけど、僕は近代民主主義の擁護が必要だと思っているのね。近代民主主義は常に危機に晒されていると思うんだ。例えばこのコミュでも選挙の話題があって、熱くなったり白けたりしているけど、選挙の本質というのは「つまらないもの」だと思うんです。つまり、結果だけ見たら落胆するような意思決定プロセスが選挙だと。だけど、その次元を軽視したり無視したり、廃棄してはいけない。見えざる匿名の「民意」なるものを蔑ろにしてはならない。そのように考えています。

それと、現代思想としてのファシズム、ということをこのところ考えています。ファシズムは、イランの例を見れば分かるように、古臭い過去の遺物ではない。それは、1920-30年代には当時の危機を打破する「現代思想」の一つとしてあったのであり、そこからみないと、それが当時の知識人含め人々に持った魅力が理解できません。詳しくいえば、資本主義-帝国主義段階の矛盾、行き詰まりに対して、左からは共産主義、右からはファシズムが答えを示していたのです。そしてその後の資本主義は、或る意味これら「現代思想」を換骨奪胎した政策をやっている。ケインズ主義とか、大きな政府とかね。

今の新自由主義は、それも行き詰まった結果生じているので、単純に否定しても仕方がない。もともと、ケインズ主義型資本主義の限界や共産圏の崩壊といった現象から、きているのだから。だとすれば、いかなる条件で、持続可能な政治や経済が可能であるかを考えることから、新自由主義への対応を決めなければならない。