賃労働百十七日目

攝津正 9:00-18:00 7時間45分 時給850円 6587円。
昨晩遅くまでジャズを聴いていたため朝眠かったが、しかし元気に今日も走り回った。余りに走り回るので、上司のKさん(男性)から、「調子良いの? 走り回ってるじゃん」と言われる。小分けもピックも快調そのものである。いつもこんな調子であればいいのだが。が、原因不明のアップダウンがある。
電車内でフィニアス・ニューボーン・Jr.を3枚聴く。『ニューボーン・タッチ』『グレイト・ジャズ・ピアノ・オブ・フィニアス・ニューボーン・Jr.』『バック・ホーム』の3枚だが最も後期に属する『バック・ホーム』の最後の曲「ラブ・フォー・セール」が異常なまでに良かった。アート・テイタムオスカー・ピーターソンバド・パウエルらに比べれば知名度が低いフィニアスだが、彼のピアニズムはジャズの根本的に重要な出来事に属していると思う。

ザ・ニューボーン・タッチ+2(紙ジャケット仕様)

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ザ・グレイト・ジャズ・ピアノ

ザ・グレイト・ジャズ・ピアノ

バック・ホーム

バック・ホーム

同じく電車内で、ヤスパースの『ニーチェキリスト教』読了。非常に面白い。基本的に私のニーチェ像はドゥルーズという色眼鏡を通して見たニーチェだが、そのニーチェ像を修正する必要を感じている。ハイデガーヤスパースクロソウスキーバタイユなどのニーチェ論を読み、可能なら現代の最前線の研究も調べて、ニーチェをもっと徹底的に理解したい。十代の私はニーチェ主義者であった。が、ニーチェを本当に理解するには、ありとあらゆる文化現象総体を全面的且つ根本的に理解せねばならぬと思い、いわばニーチェをお預けにして、他の著作を読んでいる。id:sz9の優れた『ケイゾク』論のことを考えていた。私自身の見解は既に述べた通り、他者から主体性を抜き取られるという根本的経験が、『ケイゾク』の現代性の根本をなすと考えているが、偉大なる先行者である浅野温子主演『沙粧妙子最後の事件』にも触れねばならぬ。『沙粧妙子』においては、他者から操られるという根本的経験のみならず、他者を面白半分に操作するという最も悪質で狡猾な知性の享楽といった次元が取り上げられていた。主題歌はマドンナとロッド・スチュアートだったが、エンディングで浅野温子佐野史郎と真犯人の三人が戯れ興じる場面があるが、それは彼ら三人が実は同一の本性を持つものであるということを暗示している。浅野温子が真犯人の人工呼吸器を外して殺害し、手錠を掛けられるという衝撃の幕切れだが、このエグさは『ケイゾク』に勝るとも劣らぬ。そして現在進行形のものでいえば、漫画だが、『多重人格探偵サイコ』を挙げるべきだろう。
ケイゾク DVDコンプリートBOX

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沙粧妙子?最後の事件?第1巻 [VHS]

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多重人格探偵サイコ (1) (角川コミックス・エース)

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ここで一旦送る。