賃労働百十六日目
攝津正 9:00-18:00 7時間45分 時給850円 6587円。
躁的、ということで病的とか異常ということが含意されるなら、むしろ元気で陽気で快活と言い換えるべきだろう。昨日の不調が嘘のように、今日は一日中好調を持続した。小分けもピックも、シール出しも快調であった。Sさん(私とタッグを組んでいる、60代主婦)は「攝津君、駆けてたね。調子良いんだと思った」と言った。以前7番でタッグを組んでいたYさんも「今日は元気みたいね」と言ってくれた。実際そうであった。いつもこうだといいのだが!
Sさんは、美大出でグラフィックデザインの仕事を長くしていたが、脳梗塞で倒れ、再起後今の仕事をしてもう十年になるという。休日にはスポーツジムに通い、パソコン教室にも通って、自分の描いた絵でカレンダーを作ろうとしている。本当に素敵で素晴らしいことだと思う。
Sさんにも話したのだが、音楽系掲示板で、或る投稿者から、母がさだまさしのファンクラブに入りたがっているが入会金1000円、年会費4500円は妥当な額かという議論になって、私は「一日バイトすれば稼げる金額では」と言ったのだが、投稿者は「60代主婦だから無理」と応答してきた。しかし、Sさんはじめ無数の私の職場の主婦パートのおばさんらは、現実に一日にそのくらいの額を稼いでいる。
今日は朝、アル・ヘイグの『バド・パウエルの肖像ライブ』と『アル・ヘイグ・トゥディ』を聴き、帰りの電車でセシル・テイラーの『アキサキラ』を聴いた。一番良かったのは『バド・パウエルの肖像ライブ』であった。音質は最悪だが、それを超えて伝わってくるものがある。
浦安の図書館でヤスパースを8冊借りた。ウィリアム・ジェイムズに続き、真に好きな哲学者になりそうである。今読み始めたのは『ニーチェとキリスト教』という本だが、非常に面白い。「厭世的倦怠は自分の能力が機能を発揮しないということにほかならず、断乎としてみずから運命を開拓することができない弱さというものが持ちだす口実である」とはその書に引かれているニーチェの言葉だが、後年の思想家ニーチェの言葉ではなく、少年ニーチェ(!)の言葉である。非常に感銘を受けた。
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