【声明】 オリコン名誉棄損裁判の不当判決に抗議する>流対協

●声明●
オリコン名誉棄損裁判の不当判決に抗議する

2008年 4月25日

出版流通対策協議会
会長・高須次郎

東京都文京区本郷3-31-1 盛和ビル40B
TEL 03-6279-7103/FAX 03-6279-7104

2006年11月に音楽市場調査会社「オリコン」が、月刊誌「サイゾー」に掲載されたコメントで名誉を傷つけられたとして、取材に応じてコメントしたフリージャーナリストの烏賀陽(うがや)弘道氏に5,000万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は08年4月22日、烏賀陽氏に100万円を支払うよう命じました。また、オリコンの提訴そのものを違法とした烏賀陽氏の反訴も棄却しました。烏賀陽氏が月刊誌「サイゾー」の電話取材に答えて語ったコメントは、「オリコンはランキングの調査方法をほとんど明らかにしていない」「オリコンは予約枚数をもカウントしている」というものです。これに対し、東京地裁の綿引裁判長は「コメントがそのままの形で掲載されることに同意していた。コメントは真実でなく、真実と信じた理由も認められない以上、コメントそのもので名誉棄損の対象になる」とし、

烏賀陽氏の取材に基づく反論証拠を、取材源が明らかにされていないという理由でほとんど否定しています。この判決文を読むと、大手企業に対する批判・論評は許されないのではないかという危惧を抱かざるを得ませんし、今後自由なコメントや取材ができなくなる恐れを強く感じさせます。さらに、当該記事に対して、オリコンは出版元を訴えるのではなく、いきなり個人の烏賀陽氏だけを訴訟しました。個人に的をしぼっての高額訴訟は異例であり、訴訟に名を借りた言論封じであると言わざるを得ません。

烏賀陽氏の反訴に対しても、判決は5,000万円の高額訴訟は、名誉毀損訴訟においては高額の請求も通常であり違法ではないとしています。これは、今後の言論抑圧につながる恐れが強くあります。

この判決は、言論を封殺するために個人を被告として高額請求するという裁判制度の悪用を是認、言論出版の自由を抑圧する常軌を逸した不当判決であり、断固として裁判所に抗議します。