抵抗に疲れる

性別二元論や強制異性愛社会などに抵抗するのにちと疲れる。家族関係は根深い男性中心主義、異性愛主義が蔓延しており、僕もそれに組み込まれている。親などから異性愛の男性として振る舞うよう要求され、困惑する、といったことがよくあるのだ。最近も嫁を探してくるなどと執拗に言われ続けて参っている。

ところで、アート・テイタムほどの高みにある音楽を日々聴いていると、中途半端なモノは受け付けなくなる。洗練の極地のようなピアニズムには心から酔い痴れる。晩年のソロ・マスターピース、何度聴き返しても素晴らしさに唸る。若年の頃の荒々しさは影を潜めているとはいえ、まさに超絶であることには変わりがない。ジャズ100年の歴史を通じて、傑出したアーティストであることだけは間違いがない。

が、これからジャズを聴こうという初心の人に薦めるとしたら、アート・テイタムではなくバド・パウエルかなぁ、とは思う。バド・パウエルの気迫にはただひたすら圧倒される。それに比較すると、アート・テイタムのほうは通というか玄人好みのものだと思う。彼の素晴らしさは、一度はピアノを触わってみたことがあるくらいの人にしか分からないのではないだろうか。