東京レズビアン&ゲイパレード2006参加に際しての方針(仮)

文責・Queers Association有志

http://www.tlgp.org/

来る2006年8月12日(土)に、「東京レズビアンゲイパレード2006」が催されます。私達Queers Association有志は、次のような意見と方針を持って、この催しに参加いたします。

1)全ての少数者の連帯・協働を!
パレードをレズビアンとゲイだけではなく、バイセクシュアルやトランスジェンダーインターセックスAセクシュアルなどを含む全ての性的少数者、更には社会的な差別と排除に晒されている全ての人達(失業者、外国人、野宿者…)のための歓待と闘いの場にすることを提案します。私達は「典型的」な日本人とは異なります。差異への権利を持っています。それを積極的に表現し続けることで、社会に葛藤──利害関心や主義主張の齟齬の次元──をもたらしたいです。不一致はむしろ実り豊かなものと考えることで、立場や利害の異なる者同士の連帯や協働の可能性を探ります。多数多様性や複数性を前提条件と考えることで、「オープン・ミックス・パブリック」な場の創出を目指します。その見地から、「東京レズビアンゲイパレード2006」という名称には異論がありますが、だからといって参加しないのではなく、参加しつつ自らも声を挙げるといった道を選びました。

2)資本主義による社会的排除・差別と国家による戦争に反対を!
性的少数者であっても、現在の資本と国家の持っている方向性に異論を唱えることなく、むしろ積極的に隷従しようという人達が多数いるのではないでしょうか。私達は、社会的諸問題に積極的に取り組み、資本が推し進める意識や価値の画一化や多様なもの・自分達と異なるものの排除に反対し、戦争や弾圧など国家による暴力に抵抗し蜂起します。急速な戦争国家化・右傾化が進んでいる現在、私達は、ジェンダー/セクシュアリティの問題に取り組む者であっても、資本、国家、民族、家族等々が提起している諸問題に無関心でいることは許されないと思います。

3)新たな生/性の様式の発明を!
私達は、2丁目やインターネットの出会い系サイトといった場を通じてうまれる生き方だけではない、別のもっと多様な生き方を模索し、発明します。生/性は豊かで差異を孕んだもの、創造的なもの、多様なものであって、私達に問い掛けてくるものです。私達は生/性を問い掛けとして捉え、それを新たな生活様式の発明の契機としたいと願っています。私達は、資本主義や国家や民族、家族に還元できない、予想できない出会いや友情といったものの価値を大切にし、そこから新たな繋がり・連帯を生み出していきたいと考えています。精神医学や精神分析、心理学、更にはマスメディアなどが流布する類型化され貧しく還元された性についての考え方に全面的に反対し、多様で自由な、倫理的で実存的な選択・創造としての生/性といった考えを提出していきたいです。私達の生/性の在り方は、何らかの超越的な法やその他の要因(生物学的、心理学的、社会学的…)によって、変更不可能なほど完璧に決定され尽くされたものではなく、微細であれ主体的な介入、変更の余地があるものであって、その意味で全面的に新しいものの発明の可能性は常に開かれていると考えるべきです。私達は、生/性に関して、科学主義的(決定論的)ではなく、倫理的・美的(政治的)な立場を選択します。生/性は、変えられるし変わるものです。強制異性愛や社会的差別に反対する根拠は、アイデンティティ性的指向が不変であるということにではなく、私達の自由と生存にこそあります。私達は変わることができるし、実際日々変わっているわけです。不断の選択と闘争・遊びの過程が、私達の生/性そのものの内実をなしています。私達はもろもろの権威や権力に隷従することもできれば、解放を目指して蜂起することもできます。そのいずれの可能性もあります。どちらを選ぶかは、私達次第なのです。予め決定され尽くしたものなど、ありません。未来は常に開かれているのです。