感想2

私は歴史も客観も全部無視している。それに適当な名前を付けるつもりもないが、徹底的に自分だけに拘る。他人や社会、過去の歴史、現在の世界や未来などは一切関係ないのである。徹頭徹尾自分だけである。私は非情なエゴイストである。━━だから他者、他人はいない。存在していないし、もしその影が視界に現れたら常に駆逐している。《絶対の否定と拒絶》。それが私である。《人々の死。忘却。誰もいない無人の場処。終了し終焉したプロジェクト。その後に射してくる太陽の光。人々の生命と希望は死に絶える。誰もいない。心が、情がない非情の場処。無人の。誰もいない。人々がいない。無。空無。空虚の。しかし、奇妙にも落ち着いた。安息は死者にのみ許された贅沢である。━━人々の死 ━━全ては消えた ━━トンボリネージョン ━━過去も かつて知っていたはずの人々も全員死に絶え ━━現在もなく ━━未来への開けもなく ━━他人も社会も歴史も外国もない ━━もはや死 ━━無意味な余生 ━━永遠の暇潰し ━━誰もいない ━━無人 ━━人々の死 死 死》

余りにも悲惨で無慈悲な。誰もいないという。もはや人間が存在していない。客観的な意味や価値は成り立たない。そこには誰もいない。いかなる生命あるものの姿もない。言葉は無限に幾らでも繰り広げられる。しかし、無意味な残響である。独語。独語する骸骨。━━死者 死体 骨 骨 骨 (精神は骨なのか?) ━━人々の死 空無 誰もいない場処 否定と拒絶 しかも絶対の

人々の死。一切の生命と希望が死に絶えた場処。━━そこには誰一人いない しかし奇妙に静謐で平穏だ。━━誰もいない 人々がいない 死者 忘却 偽りの記憶 虚しい想い出 過去は存在していない 妄想 かつてそうあったという ただそれだけの 思い込み 誰も存在していない 現在にも過去にも そして未来にも 我々の死闘(私闘)は全て ただの空中戦である それ以外のものではない 実際には何一つ存在していないのだ そんなものは ないのだ 端的に ないのだ 何もないのだ あると思っているだけ それはないのである そんなものは あなたが ある と 思っているものは 何も ないのである という真実に気付かなければならない もし 真実などというものがこの世にあるのだとすれば それはただ一つ 真実などないということだ

《否定》

そこに口を開けた無 無人の 誰もいない光景 荒涼とした ━━人々の死 一切の生命と希望が死に絶えた それだけの廃墟 人間がいない 不在である 未来へのプロジェクト 企てもない

一切何もありはしない 全員既に死亡した 後は その数を数え上げるだけである

死亡通知という仕事だけが残されている。死者の国。黄泉において。ただそれだけが。訣別という作業だけが。ルーティンワークとして残されている。

ただそれだけが。死者の数を数え上げ 名前を呼ぶという そのことだけが。

いまだ生きているものは、 ━━ だが 本当に 彼らは 生きているのだろうか? 彼ら自身  実は既に 死んでいるのだとしたら? ━━一切の生命の絶滅 死亡 死 死 死 誰もいない no man's land 誰もいない そういう空虚 誰一人いない 存在していない 無人の  誰もいない 人々が死に絶えた そういう場処