アキコ・グレース / ピアノリウム

PIANORIUM

PIANORIUM

アキコ・グレースの『ピアノリウム』は現在のところ彼女の唯一のソロピアノ作品で、彼女のウェブサイトで毎月1曲ずつ配信されていたものを纏めた作品だ。聴いていて感じるのは、彼女だけでなく現在の若手女性ジャズピアニストの多くも共通しているのだが、ロマン派の影響が濃いということだ。妹尾美里などもそうだ。ロマン派の旋律や和声がふんだんに取り入れられ、聴くものを魅了する。しかし、では何故ジャズでないといけないのか?と思うのも事実。
現在の若手で例外的な女性ジャズピアニストといえば、松本茜であろう。彼女は、ロマン派の影響よりも、ビバップ、ハード・バップへの回帰を窺わせる。しかしその彼女も、オンライン配信限定のiJazzピアノスタンダードジャズ100シリーズでは、やはりロマンティックである。
そのようなロマン派の「期待の地平」を超えているのは(もはや若手ではないが)橋本一子、或いは男性だが、スガダイローや石田幹雄のようなフリージャズピアニストだろう。ヴェテランでは板橋文夫菊地雅章山下洋輔らも現役だ。本田竹広は亡くなってしまったが。